コーポレートブログ

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【環境の日特別イベント】都会のいきものを「Biomeアプリ」で発見、生物多様性保全を考える

2024年7月22日

飲料メーカーであるコカ・コーラ ボトラーズジャパンは、原料となる「水」を多量に使います。水がなければ、私たちのビジネス自体が成り立たないため、水を大切に使うことはもちろん、守り、育むことも私たちの最優先事項だと考えています。

私たちが使う水は、「地下水」です。その地下水を育んでいるのが「森」。

健康な森では、スポンジのように小さな隙間がたくさん空いた「保水力の高い土壌」をもっています。森に降り注いだ雨が、このスポンジ状の土壌を通ってゆっくりと地中深くしみ込み、「地下水」として蓄えられます。だから私たちは、植林・間伐など、健康な森をつくるための活動[1]に注力するのです。

上記のような、森林がもつ「水蓄える力」を「涵養機能」と呼びますが、さらに、森林は遺伝子や生物種、生態系を保全する機能である「生物多様性保全機能」をもっています。森林が健康であるためには、この「生物多様性保全機能」も正常な状態で保全されることが必要です。例えば、雨水を吸収する健康な土壌には、落ち葉・枯れた植物・有機物を分解することが必要で、それらを分解するのが多種多様の動物・微生物だといわれています。水資源保全を目的とした森林整備を通して、私たちは「生物多様性保全機能」の維持へも寄与したいと考えています。

そのような「生物多様性保全」[2]を社員が自分ごととして認識するために、「環境の日特別イベント」を2024年6月5日に開催。使うのは、大阪・関西万博を機に、当社の生物多様性保全施策として導入した、いきものコレクションアプリ「Biome」(バイオーム)[3][4]です。イベントの舞台に選んだのは、当社本社オフィスが入る東京ミッドタウンに隣接する檜町公園(港区赤坂)。六本木で働く、営業やバックオフィスの社員が参加しました。工場水源域から非常に離れた「都会」に生息するいきものを社員が知ることはなぜ必要なのでしょうか。関係者の思いを交えつつ、本イベントの様子をレポートします。

都会の一角にも、たくさんのいきものが暮らしている

約14,100平方メートルの面積を擁する檜町公園内には木々が生い茂り、小川や池にはたくさんのいきものが暮らしています。周辺を巨大なオフィスビルに囲まれているのが信じられないほど、この公園には豊かな自然が残されています。

イベント開始時刻になると約30名の参加者が集合。Biomeアプリを開発する株式会社バイオーム取締役COO・多賀洋輝さんがイベントの趣旨を説明しました。

「ユーザーのみなさんがBiomeを使って投稿してくれた情報をもとに、私たちは日本中のいきもの情報を収集して生物多様性保全に資するデータとしています。こうした都会の一角にもたくさんのいきものが暮らしています。今日は一緒に公園内を散策しながら、いきものたちを発見していただければと考えています」

多賀さんに続いて公園内を歩きながら、Biomeアプリを立ち上げてさっそくいきもの探しを開始。小さなハチを見つけ、おそるおそるスマートフォンを向ける参加者に多賀さんが声をかけます。

「これはセイヨウミツバチです。野生にはいない種なので、近くの養蜂施設から飛んできたのではないでしょうか。セイヨウミツバチはスズメバチと違い、一度刺すと死んでしまうため、よほど巣に近づいたりこちらから刺激したりしない限りは人や動物を攻撃することはありません」

取引先や顧客企業、自治体との間でも生物多様性保全が話題に

開放されている草地ではさまざまな植物を撮影。

「ここに花を咲かせているのはオオバコですね。頑丈な植物で、人に踏まれてもへっちゃらです」

「小さな白い花をたくさん咲かせているのはドクダミです。市街地でもよく見られますね。昔から日本では下剤や熱冷ましに使われ、毒を出すことから転じてドクダミと呼ばれるようになったと言われています」

Biomeで動植物を撮影するとAI判定が行われ、いくつかの候補が提案される

候補の中からぴったりだと思うものを選んで投稿すると「ゲット!」の表示が。投稿に加えレア度によってポイントが加算されるゲーム性も備わっている

多賀さんの解説を聞き、いきものを撮影して種名を読む参加者からは「知らない動植物ばかりだ……」と驚く声も上がりました。


参加者はどんな動機でこのイベントに参加したのでしょうか。

営業企画に携わる社員は「取引先や顧客企業の間では生物多様性保全への関心が高まっている。営業現場で当社の取り組みを伝えられるようにしたい」と話します。

自動販売機の企画を担当する別の社員は「リサイクルを推進する立場として生物多様性保全には興味を持っていた。私たちは自治体との接点も多いので、今日のようなイベントを提案することで、生物多様性保全や地域おこしに貢献できれば」と手応えを語りました。

Biome アプリを通じて、楽しみながらいきものと関わってほしい

当社の生物多様性保全の取り組みに、バイオームはどのような期待を寄せているのでしょうか。

多賀さんはイベントの冒頭でも語っていた「生物多様性保全に資するデータ収集」の意義を改めて強調しました。

「どこにどんないきものが暮らしているのか。それを知ることが生物多様性保全の第一歩です。コカ・コーラ ボトラーズジャパンは水資源保全に長く取り組み、全社を巻き込んで活動している。今回のコラボレーションによっていきもののデータを豊富に集め、水資源保全にもつながると期待しています」

同時に多賀さんは「一人ひとりの個人が、楽しみながらいきものと関わることが大切」だと話します。

「日本国内には、既に知られているだけで菌類を除いて6〜7万種、あるいはそれ以上の野生のいきものが生息していると言われています。Biome アプリを通じて楽しみながらいきものとふれ合うことで、身近な生物多様性にも気づけるのではないでしょうか。会社としての取り組みはもちろんですが、個人としても楽しんで自然を発見してもらえるとうれしいです」

今後の生物多様性保全に向けた取り組みを見据え、多賀さんは当社とのプロジェクトの展望を語ります。

「生物多様性という言葉は、最近になってようやく注目されるようになりました。私たちは今、生物多様性保全の取り組みを社会や企業に根づかせていく方法を手探りで追い求めています。この活動のパートナーとして、ともに歩んでいければと考えています」

各地の拠点に「生物多様性保全を考えるきっかけ」を届けたい

当社の生物多様性保全に向けた取り組みを主管する藤久保敦士(サスティナビリティリレーション2課)は、「当社とバイオーム社が目指す方向は一致している」と話します。

当社はこれまで、工場周辺の水源域を保全する取り組みに力を入れてきました。この活動は水源域のいきものにも好影響をもたらすことが分かっており、当社えびの工場の水源域で森林保全契約を締結している「コカ・コーラ ボトラーズジャパン 水源の森えびの」は環境省が定める「自然共生サイト」※[5]にも認定されています。
※「民間の取組等によって生物多様性の保全が図られている区域」として環境省が認定

「今後、水資源保全をより効果的に進めていくには、各地域にどんないきものが暮らしているのかを明らかにする必要があります。Biomeアプリを使えば、専門家だけでなく一般の人たちもこの活動に参加できる。だからこそ多くの社員にBiomeを使ってもらいたいと考えていました」

生物多様性保全の活動はまだ始まったばかりで、「具体的に何をすればいいのか分からない」という声が多いのも事実。まずは当社の社員がいきものと触れ、生物多様性保全を考えるきっかけを持つことが大切なのだと藤久保は指摘します。

「東京の中心部でも、こうして生物多様性の一端を垣間見ることができます。今後は水源域に限らず、さらに幅広い地域で取り組みを進めたいですね。私たちのようにサスティナビリティに関わる部署だけでなく、さまざまな職種の社員が生物多様性保全に高い関心を持っています。今日のような機会を増やし、社内でも継続的に機運を盛り上げていきたいと思っています」

当日30名の社員がイベントに参加しました

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