2024年12月12日
当社では、2023年より株式会社ファミリーマートとD&I(ダイバーシティ&インクルージョン)分野における協業を開始し、「同盟」や「味方」などを意味する英語「ally」が語源で、自分自身が性的マイノリティであるかどうかによらず、積極的にLGBTQ+について学び、サポートする人を指すアライを中心にさまざまな取り組みを進めています。
10月11日(金)の国際カミングアウトデーには、2社合同で「LGBTQ+アライメンバー協働イベント」を実施。女装パフォーマーのブルボンヌさんを迎え、初年度となる昨年の行動目標である「知る」から一歩進んだ「動く」に取り組んだ各社のアクション紹介とともに、「アライの輪を広げる」プロモーションロゴのデザイン案について協議しました。そのイベントの模様をご紹介します。
当日は各社の取り組み事例紹介と、アライの輪を広げ、当取り組みのシンボルともなるロゴデザイン検討プログラムが行われました。
まずはファミリーマート社からマーケティング本部サステナビリティ推進部の小川和之さんが登壇。ファミリーマート社がどのような取り組みを行っているのかをご紹介いただきました。
ファミリーマートでは「『like Family』多様性をちからに。誰もが活き活きかがやく未来へ」をミッションに、「環境対応」「社会課題解決」「多様性尊重」の3軸からなるサステナビリティ施策を設け、性別や国籍、障がいの有無、性的指向・性自認などの多様性を尊重するダイバーシティ推進に注力しています。LGBTQ相談窓口(2020年)や、同性パートナー人事制度を導入(2022年)し、法律上の配偶者と同じ社内制度や福利厚生を利用できるしくみづくりも整備してきました。
LGBTQ+への理解促進を目指し、「正しい知識と理解醸成」「安全・安心な場作り」を2つの軸として取り組み、全社員がいつでも知識を得ることができるよう、基礎知識動画やオリジナルハンドブックを公開しています。LGBTQ+支援を意味するレインボーカラーをファミリーマートの看板商品であるファミチキの袋などに展開し、売上の一部を「認定特定非営利活動法人ReBit」へ寄付する活動も行っています。
アライが集えるコミュニティ「FAMIMALLY」を運営し、定例ミーティングの開催やプライドイベントへの参加など、活動をシェアできる環境づくりやアライ活動を継続して行える環境整備にも力を入れています。なお、ファミリーマート社では日本での職場におけるLGBTQ+関連の取り組みの評価指標である「PRIDE指標」でも、5年連続で最高評価の「ゴールド」を受賞すると同時に、コンビニエンスストア業界で初めて「レインボー認定」を獲得しています。
続いては、当社人事・総務本部 人材&組織開発部 DE&I課の林真伸が登壇。「中期経営計画の実現に向けた人的資本の強化の一環としてDE&Iに取り組み、インクルーシブな環境でビジネスを成長させていく」と、社内でのDE&Iの意義について語りました。
当社ではグループのDE&Iステートメントとして「Be COLORFUL!」を掲げ、性的指向、性自認・表現をはじめ国籍や働き方など、あらゆる多様性を尊重し、最大限のパフォーマンスを発揮できる職場づくりに取り組んでいます。具体的には、社内アンケートや履歴書での性別表記を任意記載または『回答しない』の選択肢を設けること、パートナーシップ制度を同性パートナー・事実婚にも適用、匿名利用が可能な相談窓口の設置やドレスコードでの『男女』といった目に見える表現での区別をなくすことなど、制度面での整備を行ってきました。
LGBTQ+関連の取り組みとしては、用語の理解や知識の定着をめざす全従業員を対象とした研修、6月に「PRIDE WEEK」として社内でのイベント開催や、ファミリーマート社はじめ各社とのコラボレーションも行っています。林は、現在までに約220名が登録しているLGBTQ+とアライの有志による従業員ネットワークの立ち上げや飲料各社とパレードに参加した東京レインボープライドや各地域でのレインボープライドでの取り組みについても紹介しました。なお、当社では日本での職場におけるLGBTQ+関連の取り組みの評価指標である「PRIDE指標」でも、レインボー認定を3年連続、ゴールド認定は4年連続受けています。
「知る」から「動く」への取り組みとして、2024年6月にはファミリーマートと当社のアライメンバーが参加した「アライメンバー間交流会」を開催。互いの活動内容をシェアし、自社や個人での活動につなげるチャレンジをしてきました。
ファミリーマート社の太田早耶さんも、上記のイベントに参加した一人。自身が所属する中日本(東海・北陸)エリアを対象としたオンライン交流会を開催し、アライになったきっかけやお気に入りのレインボーグッズといったテーマでコミュニケーションをとる時間を作ったといいます。「エリアが広くなかなかアライ同士での交流ができない課題があったので、こうした交流会を今後も継続していきたい」と熱意も新たになったことを語りました。
当社からは山田明季が登壇し、女性活躍推進に取り組むなかで「女性管理職を何%」といった基準を設けることにくわえて、全ての従業員にとって最適なDE&I活動を検討し続けたいと述べました。
2社の取り組みについてブルボンヌさんは「『東京レインボープライド』のような大きなイベントには大企業がスポンサーとなることも多い。特に若い世代はそういった企業の取り組みをよく見ているし、LGBTQ+に対するスタンスを見て『この会社はこんなスタンスなのか』『ここでなら自分がのびのびと働けそう』と感じたり、その逆になってしまったりすることもあります。」と話し、そういった意味では企業としてLGBTQ+関連の活動をするのは、社会貢献だけでなく、人的資本の確保などビジネスシーンにおいてもさまざまな影響があるという認識が広まると良いと思うとコメントしました。
また「LGBTQ+の当事者のなかにはアライという言葉に懐疑的な人もいます。SOGI(性的指向・性自認)という言葉があるように、全ての人が性に関して少しずつ異なるパラメータを持っている、それについて理解しようとしている人がアライであるということ『当事者/アライ』ではなく、当事者意識をもって取り組んでいければ、さらにすばらしいムーブメントになっていくのでは」と今後のアライ活動への期待感も語ってくれました。
第2部では、ファミリーマートと当社で使用するアライロゴを考案するワークを実施しました。このロゴは2025年6月のプライド月間にプロモーションとして使用するもので、アライの輪が広がってゆくことを目的としています。2社のアライメンバーが複数のグループに分かれてデザイン案を出し合いました。
ワークは約30分という短い時間。初対面のメンバー同士で簡単な自己紹介を終え、すぐに協議がスタートしました。アライとして伝えたいメッセージを考えるなかで「性による区分をやめようということではないよね」「社員それぞれ、問題への理解度が異なるし、スピード感も違うはず。押し付けにならないようにしたい」など、アライが共有している想いを出し合いながらモチーフを考えていきます。まずはメッセージを文字にするグループ、とにかく手を動かしてみるグループなど、さまざまなスタイルでロゴデザイン案が練られていきました。
最後にはロゴデザインの発表と、そこに込めたメッセージについての簡単なプレゼンテーションの時間も。「多様性を色で表現したい」「いろいろな人たちの存在を不定形な雲というモチーフで表現した」「みんなで進んでいくといメッセージを込めて線路をモチーフにした」など、さまざまなアイデアとデザイン案が出されました。
ブルボンヌさんからは「色数の多いレインボーを使ってデザインするのは、実はとっても難しいんですよ!」と前置きがありつつ、「あえてモチーフの形を不定形なものにするとか、思いが広がっていく表現として波紋を使うといったアイデアもとても素敵です。どんなデザインになるのか、楽しみにしています!」とコメントが。和やかな雰囲気のなかで今回のイベントは閉会となりました。
両社が集まる貴重な機会となり、参加メンバーからは「緊張があったが、グループの方や会場の雰囲気もとてもフレンドリーで心地よかった。この空気感が心理的安全性の高い場なんだと感じたし、アライネットワークに入っていてよかったと思った。もっと広がればいいなと感じた」(ファミリーマート社参加者)「2社のメンバーで合同ワークをしたおかげで、思いが共有できた。自分の周囲にもカミングアウトをしてくれた方がいて、LGBTQ+その人が安心して自分らしくいられるように考え続けたい」(当社参加者)といった感想が上がりました。
今回考案されたデザイン案は今後アライメンバー内で絞り込みを行い、両社による最終投票を経て確定となる予定です。