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世界で初めて開発した「水素カートリッジ式発電自販機」を大阪・関西万博会場内に設置!脱炭素社会の実現に向けた取り組み

2025年4月25日

ついに開幕した 2025年日本国際博覧会(以下、大阪・関西万博)。当社は、そのテーマである「いのち輝く未来のデザイン」に共感し、社会課題に対して新たな価値を生み出し、持続可能な未来を構築するためにさまざまなサポートを行っています。

たとえば、会場内に設置した自動販売機252台については、飲料6社で協力し、配送、補充を一貫して行う体制を構築。商品の保管についても1ヶ所の倉庫に集め、クリーンディーゼル車で配送することで、CO2の排出を最小限に抑えます。加えて、自動販売機自体も省エネタイプを設置しています。

そのなかでも当社は、富士電機株式会社と共同で世界初(※)となる「水素カートリッジ式発電自販機」を開発。プロトタイプである1台を大阪・関西万博会場内に設置しました。この記事では、2025年3月18日に大阪・関西万博会場内で行った設置式をレポートします。

(※)富士電機株式会社調べ

水素社会に向けた取り組みを体験、体感、実感してほしい

今回、「水素カートリッジ式発電自販機」が設置されたのは、大阪・関西万博会場のシンボルである「大屋根リング」の真下。高さ約12m、内径約615mと、世界最大級の木造建築物を見上げる場所です。

設置式の前半では、当社の執行役員であり、ビジネスデベロップメント統括本部長の藤原義樹と、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会 企画局局長 河本健一氏が登壇。設置への思いや環境への貢献について話しました。

「当社は社会との共創価値(CSV : Creating Shared Value)の実現を目指しています。各事業所オフィスや工場物流センターでは再生可能エネルギーを導入。市場では、排出する容器のリサイクルや自動販売機にまつわるバリューチェーンの最適化により、CO2排出を減らす活動に注力。その一環として、世界で初めて『水素カートリッジ式発電自販機』を富士電機様と共同開発しました。

『水素カートリッジ式発電自販機』の特徴は、稼動の際のCO2排出量がゼロであることです。また、安全な常圧の水素カートリッジで発電するため、コンセントが不要。自動販売機の消費電力自体も、従来の約半分に抑えられます。

2800万人超の来場を見込む大阪・関西万博で、ひとりでも多くの方にこの自動販売機を使っていただき、脱炭素社会の実現に向けた当社の取り組みを知っていただけたらと思っています」(藤原義樹)

「大阪・関西万博はテーマが『いのち輝く未来社会のデザイン』、コンセプトが『未来社会の実験場』になっています。『水素カートリッジ式発電自販機』は、未来の水素社会をご来場の方々が体験できる、素晴らしい機会だと感じています。

会場では、それ以外にも水素社会に向けたチャレンジをしています。例えば、複数のパビリオンを結んだ水素のサプライチェーンをつくったり、会場外に設置した水素発電機で発電した電気を会場内に運んで使用したり。さらに、水素燃料製水素電池を『まほろば』という船で会場に運ぶ取り組みもあります。

これらが『水素カートリッジ式自販機』と相まって、来場者の方々、世界中の方々に、水素社会に向けた取り組みを体験、体感、実感いただくことを心から期待しています」(2025年日本国際博覧会協会 河本健一氏)

挨拶の後には「水素カートリッジ式発電自販機」の除幕式が行われ、河本氏がコカ・コーラ公式アプリ「Coke ON®」(※)の画面を指でスワイプする形で、初のドリンク購入を実演。その画面は大きくモニターに映し出されました。

(※)「Coke ON」はThe Coca-Cola Companyの登録商標です

「Coke ON」を操作し、「コカ・コーラ」を購入

「水素カートリッジ式発電自販機」で購入したお客さま第一号の河本氏

自動販売機は社会課題解決の支援、地域活性化、災害対策の役割も

設置式の後半では、「水素カートリッジ式発電自販機」の開発に携わった、当社EQ企画部機材&デジタル開発グループの空増知尚が登壇。開発の背景を説明しました。

「『コカ・コーラ』は1962年、瓶の時代から自動販売機市場で規模を拡大してきました。2016年からは、コカ・コーラ公式アプリ『Coke ON』も導入し、現在では約6000万ダウンロードされています。多くのお客さまのご支持を受け、当社の自動販売機は現在、清涼飲料自動販売機でシェアNo.1の台数を維持しています。

また、近年では社会インフラとして、社会課題の支援や地域活性化、災害対策といった新たな役割が自動販売機に求められるようになりました。社会課題のひとつには、地球温暖化があります。地球温暖化により自然災害が多発する今の時代、CO2排出量の削減は喫緊の課題です。

このため当社では、CO2排出量の削減に向けて、環境負荷の少ない自動販売機の導入を積極的に進めてきました。最新の機材では省エネ性能が飛躍的に向上し、2005年比でCO2排出量を約60%削減できています。2023年からは、当社が自動販売機稼働時の年間消費電力量に相当する『FIT非化石証書』を取得することで、CO2排出量を相殺することができる『カーボンオフセット自販機』も展開。環境対応を進めています」(空増知尚、以下同)

稼働時にCO2を排出せず、年間消費電力量を約49%削減

続けて空増は、水素カートリッジ式発電自販機の仕組みも説明。発電機の内部も公開しました。

「『水素カートリッジ式発電自販機』は本体と発電機から構成されています。発電機に常圧水素カートリッジを装填して、水素と空気中の酸素の化学反応によって電気を生成し、稼働させる仕組みです。筐体の中には、18本の水素カートリッジを収納しています。外気温の変化や販売量によっても変わりますが、1日約3本を使用して稼働させます。

自動販売機本体の右側に筐体を設置。

自動販売機内で自家発電する形となるため、電源コンセントへの接続の必要がなく、稼働時にCO2を排出しません。一方で、発電機の開発と併せて、自動販売機本体の省エネ化も実現しています。当社の一般的な機材と比べ、年間消費電力量を約49%削減することができました。

稼働までの流れを少し詳しく説明します。発電機内にセットされた水素カートリッジの水素を燃料電池ユニットへ供給し、空気中の酸素と化学反応して発電。発電した電気はチャージコントローラーを経由してバッテリーに蓄電し、その電気がインバーターで電力変換された後、自動販売機の動力源となって稼働する仕組みです」

さらに空増は、今回の自動販売機でなぜ水素に注目したのかという理由についても説明しました。

「水素は数ある再生可能なエネルギーの中でも風力や太陽光と違い、天候の影響を受けません。加えて、カートリッジの運搬が可能であること、屋内外どちらでも設置でき、小型の電力供給機材で対応できる見込みがあることから、水素と自動販売機の親和性が高いと考えたのです」

大阪・関西万博でオペレーションを検証し、サスティナブルな未来へ

会場からは、「水素カートリッジ式発電自販機」の今後の展開についても質問がいくつかあがりました。空増は未来への意気込みを交えて回答し、設置式を締めくくりました。

「大阪・関西万博の会場に設置した水素カートリッジ式発電自販機はまだプロトタイプで、世の中へ広がるには時間がかかります。技術の普及のためには、機材の小型化やユニットと本体の一体化、水素インフラの構築といった課題があるからです。今回、『未来社会の実験場』である大阪・関西万博の場をお借りして、水素カートリッジの扱い方やオペレーションの効率性を検証し、サスティナブルな未来へとつなげていきたいと考えています」

開発に携わった富士電機の方々と記念撮影

※記載された情報は、公開日現在のものです。最新の情報と異なる場合がございますので、あらかじめご了承ください。

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