2025年4月14日
当社ではこれまで、国際女性デーである3月8日を含む1週間を「国際女性ウィーク」と定め、ジェンダー平等や女性のキャリアについて考え、学び、気づきを得るための機会を設けてきました。
2025年の国際女性ウィークでは、第一弾として株式会社ファミリーマート、株式会社 明治とともに、女性活躍の重要性をテーマとしたオンラインイベントを開催。各社のキーパーソンを招き、多様性を活かした組織づくりや女性活躍推進に向けた施策についてディスカッションを行いました。当日のパネルトークの模様をご紹介します。
山口恭子氏(以下、山口氏):株式会社 明治は明治乳業と明治製菓という規模の大きな食品会社が合併して生まれました。"One Company"をテーマに統合を進め、2021年からはDE&Iのプロジェクトを開始しています。
特に力を入れているのが、事業や製品と融合した取り組みです。例えば、男性含め、これから育児に携わる可能性のある世代のメンバーだけでなく幅広い層に向けた育児セミナーやワークショップ(調乳教室等)。また、介護に携わっている人や、今後携わる可能性のある人が参加する介護ERGというワーキンググループも発足し、「明治メイバランス」という製品の活用事例の共有などを行っています。
永井優行(以下、永井):コカ·コーラ ボトラーズジャパンでは、企業の持続的な成長に欠かせないものが女性活躍だと考えています。世の中の半数が女性であることを考えると、同じくらい女性が活躍している企業でなければイノベーションは生まれづらいでしょう。女性が活躍していく土壌を企業が推進するとともに、働くみんなが当事者にならなければいけません。
当社にも、コカ·コーラ社製品の製造・販売を担っていた日本各地の12のボトラーが合併した企業合併の歴史があります。私自身は当時「同じ『コカ·コーラ』ブランドだから、会社が違っても似たような風土だろう」と思っていたのですが、実際はそれぞれの会社のカラーがあり、本当に理解し合えるようになるまでには時間がかかりました。そんな経験から多様性の前提として互いを理解し、思いやることの重要性も強く感じています。
武蔵芳枝氏(以下、武蔵氏):ファミリーマートは、地域に寄り添い、お客さま一人ひとりに家族のように接することを目指しています。多様なお客さまにご来店いただいているので、社員も多様であり、互いに理解し合うことが重要だと考えています。
私自身はこれまでのキャリアで3回の出向を経験しました。最初の出向はネットスーパーの黎明期に立ち上げた「ファミマ・ドット・コム」で、出資元の他社から集まった人たちとともに、初期メンバーとして参加しました。それまではファミリーマートの店舗でいかにお客さまに喜ばれる商品を提供するかを考えていましたが、さまざまな方と新たな価値を生み出すための議論を経験し、多様な視点で意見を出し合う重要性を体感しました。それ以降、「自分自身の意見とは別に、異なる視点で考えるとどうか」を意識するように変わったのを感じます。
山口氏:みなさんは「女性活躍推進における男性の役割」をどう考えていますか?
永井:男性側からすると、女性活躍推進の当事者にはなりにくいという印象があるかもしれません。でも、女性活躍推進は女性のためだけのものではなく、男性も含めた組織全体を良くしていくためにあります。男性もこの取り組みにコミットすることがポイントになるのではないでしょうか。
当社はまだまだ挑戦の途上にあります。2024年末で男性社員の育児休暇等取得率が100%を達成したものの、「会社が制度として義務付けているから取得しただけ」という人もゼロではないでしょう。子育てにおいて女性の負担がまだまだ大きい世の中の現状を考えると、制度の活用をきっかけにして、どんな目的に向かっていくべきかを男性は考えなければいけないと思っています。
武蔵氏:男性と女性の違いを考えると、出産は女性にしかないイベントですし、個人差はあれ生理やPMS、更年期障害など女性特有のものもありますよね。個別に必要な配慮を男性にも理解してもらいたいと感じます。
産育休明けに子育てをしながら復帰する人の働き方を考える上でも、何が必要かは人それぞれ。上司が変に気を遣ってマミートラック(※)に陥らないよう、理解やコミュニケーションの促進が必要です。
※ 産育休後に職場復帰した女性の昇格・昇進やキャリア形成が阻害されてしまうこと
山口氏:「生理痛で大変かも、出産後で大変かも……」と勝手に思うのではなく、本人がどんな意欲を持ち、何をやりたいと思っているのかをつかまないといけませんね。永井さんはマネジメント上、どんなことに留意していますか?
永井:男性だから、女性だからと分け隔てはしていません。気を遣う部分としては、既婚者の部下に対して、本人に差し障りのない範囲でパートナーとの関係性を聞くことはありますね。育児や家事に時間が割かれている現状があれば、職場の業務でサポートできることがあるかもしれませんから。プライベートに踏み込むのではなく、仕事を円滑化するためにチームで支え合うということです。
山口氏:部下にプライベートに関わることを聞くのは、ハラスメントになってしまう可能性もあって怖いと感じている上司も多いでしょう。「業務に関わることなので、差し障りのない範囲で聞いてもいいですか?」という枕詞があるだけでも、部下の話しやすさは変わるはず。こうした工夫はぜひ取り入れたいですね。
永井:一方、営業部門を見ている立場としては、女性に活躍してほしいと思いつつ、出産などのタイミングでどうしても顧客引き継ぎが発生することに悩む面もあります。ライフイベントを挟むと、責任感が高い人ほど「以前と同じパフォーマンスを発揮できないので別の仕事を」と考える傾向もあります。これをどう解決していくべきかが悩みどころですね。
山口氏:私自身の経験でいうと、産育休から復帰した当初は「子育てをしながら『この仕事をやりたい』と手を挙げてもいいのかな?」と遠慮していた時期もありました。そんなときに「挑戦してみようよ」と後押ししてくれる上司がいて今につながっています。上司の関わり方次第で、女性のキャリア意識は大きく変わるのではないでしょうか。
山口氏:「男女問わず活躍できる職場環境の整備」について、各社の取り組みを聞きたいです。
武蔵氏:ファミリーマートは現在、産育休後の復職率が100%となり、職場での理解も高まってきています。品質管理部門では、工場の監査や出張などに対応できるかを個別に確認しながら調整しており、そこでは「お子さんがいるから出張は無理だよね」などと勝手に決めつけないことが大事だと思っています。時短勤務などの制度も活用し、一人ひとりの状況に応じて個別に支援しています。
永井:当社では社員が始業・終業時間をより柔軟に選択できるよう、コアタイムのないスーパーフレックス制度を導入しています。営業では直行直帰も可能ですし、テレワークで働くこともできます。メンバーからは「育児や介護をしながらでも働きやすい」という声をよく聞きますね。
武蔵氏:ファミリーマートの場合、現場が中心なのでリモートワークをしている人は少ないです。ただ、社有車を使って子どもの送り迎えができるなど、子育てを応援する制度・環境も少しずつ整ってきています。そのため男女問わず、朝の保育園への送りを受け持っている人が多いですね。
山口氏:明治でもフレックス制度や在宅勤務制度などを取り入れています。ただ、働き方が柔軟になればなるほど、上司と部下のコミュニケーションに苦労しませんか?
永井:営業の場合は日々いろいろなことが起きるので、ちょっとした相談をしたいときに対面のほうがやりやすいのも事実です。私の場合はメンバーが大変そうな状況にあるときは、自分自身が出社するようにしていますね。すると、困っているメンバーは私と相談するために出社してくる。そうした気遣いも必要だと思います。
山口氏:本日は各社の取り組みや、みなさんの思いを聞き、自社だけではなく他社とのコラボレーションも積極的に進めて社会課題を解決していきたいと感じられました。
武蔵氏:私も新しい刺激もたくさんもらいました。新しいチャレンジを続けるファミリーマートの一員として、私自身もチャレンジを続けていきたいですし、メンバーもそのような マインドを持って変化の激しい時代に対応できるよう、柔軟な組織づくりを進めていきたいです。
永井:女性活躍というテーマは、これまでも様々なイベントや研修を通して推進していましたが、今後より重要になっていきます。私は毎日思い悩みながら取り組んでいますが、今日の場を通じて、改めて考えるべきことが明確になりました。今後も社内外から知恵をお借りし、メンバーと一緒に推進していきたいと思います。
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