コーポレートブログ

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すべてのアクションは社員が起点。「誰もが誇りを感じながら働ける会社」を目指す最高人事責任者の決意

2024年1月29日

当社では現在、中期経営計画「Vision 2028」のもとで新たな人事戦略の策定を進めています。この取り組みを主導しているのが、2023年9月1日に執行役員 最高人事責任者兼 人事・総務本部長に就任した東由紀です。

金融業界出身の東は、多様な人材が入り混じる組織でのマネジメントの難しさを痛感し、事業部門から人事へキャリアチェンジした過去があるといいます。また個人としてLGBTQ+の方々が職場で直面する課題を改善する活動をアライ(※)として続け、当社においても性的マイノリティであるかどうかにかかわらず、働きやすく、みなさんがハッピーで働く職場づくりを目指して活動するLGBTQ+&ALLY(アライ)従業員ネットワークのスポンサーとして貢献してきました。

そんな東は今、当社の未来をどのように見据えて人事戦略を描いているのでしょうか。組織やメンバーへの思い、そしてこれからの展望を語ってもらいました。

(※)「アライ」とは「同盟」や「味方」などを意味する英語「ally」が語源で、自分自身が性的マイノリティであるかどうかによらず、LGBTQ+を積極的に理解し、サポートする人

■ 人事施策を「自分ごと」として捉えてもらうために

2023年8月、当社は2028年までを計画期間とする新たな中期経営企画「Vision 2028」を発表しました。利益をともなう成長と変化に強いコスト構造の構築により、持続的な利益成長を目指すことを基本方針としています。

「Vision 2028」を実現する根幹となるのが人材であることは言うまでもありません。新たに執行役員 最高人事責任者 兼 人事・総務本部長に就任した東は、その具体的な道筋を描くための人事戦略策定を進めています。

「新たな人事戦略のコンセプトのひとつが『変革リーダーの育成』です。これまでも、管理職昇進の一歩手前となる層を対象にして、変革に必要な5つのケイパビリティを策定し、それに基づいて育成を進めていく研修プログラム『コカ・コーラ ユニバーシティ ジャパン』を実施してきました。変革を担う人材の育成には一定の時間がかかると覚悟しています。今後も経営層との共通言語を持って変革を進められるリーダーを増やしていきたいと考えています。

また、全社員を対象として自律的なキャリア形成を支援することも大きな柱となっており、そのための施策となるプログラムにも力を入れていきます。誰もが手を挙げて参加できる『ナレッジモール』という通信教育プログラムでは、ビジネスを推進する上で必須となるコンテンツから、MBA取得希望者が学ぶようなコンテンツをオンラインで受講できるコースを設けています」

ただ、「研修プログラムを充実させるだけでは自律的なキャリア形成にはつながらない」と東は指摘します。社員一人ひとりが数年後にどんな姿を目指したいのかの将来像をイメージできていなければ、自発的に学びに取り組むことができないからです。

「そのため、当社ではキャリアプラン・能力開発プランを策定するCPDPという仕組みを充実させ、社員それぞれがキャリアプランを描けるように支援しています。直近では社内の人材の活躍ぶりを可視化するためのキャリアインタビューを実施。目標とする存在が、どんな歩みを経て現在のポジションにたどり着いたかを知ることで、自分自身に必要な学びを見出してもらいたいと考えています」

さらに重要なのは、これらの人事戦略を「社員視点のストーリー」として語っていくことだといいます。

「人事の専門家が施策をつくると、専門用語がたくさん登場し、例えば『自律的なキャリアの醸成』や『1on1フィードバック』と言っても、一般的にはなじみが薄く、具体的に何をしたら良いか、なぜそれをしたら良いのかが分からない。このまま社内に語りかけても、社員は『また人事がよく分からないことを言っている』と感じるでしょう。私自身も前職の事業部門で管理職をしていた頃はそう思っていました。人事から降りてくる研修には、やらされ感を抱えながら参加していたこともあります。

一つひとつの研修が自分のキャリアにどんな意味を持つのかを理解していたら、私はもっと前向きに学びの場に参加できていたと思うんです。施策を発信する立場になった今は、会社や人事の視点ではなく社員の視点で施策を捉え、社員が自分ごととして捉えられるように伝えていくことを心がけています」

■ 多様な人材が協力し合える組織でなければ、ビジネスは前に進まない

もともと人事畑ではなかった東は、なぜキャリアチェンジを決断したのでしょうか。

「きっかけは証券会社に勤務していた約10年前の出来事でした。当時の私はリサーチ部門でグローバル・プロジェクトのマネージャーを務めており、メンバーには日本人だけでなく外資系企業出身の中途入社者や、海外拠点の外国籍の方もいたんです。この多様なチームを率いる中で、私は文化の違いによって生じるさまざまな壁を目の当たりにしました。

たとえば日々の仕事の進め方もそう。私は、日本企業でずっと働いてきた日本人には、阿吽の呼吸でつながり、多くを語らなくても互いに察し合う慣習があると感じます。一方で外資系企業出身者や外国籍の社員にはさまざまな国の人と働いてきた経験があるので、あいまいなコミュニケーションが非効率であり、重要なポイントを言語化する習慣が身に付いていました。

日本企業出身者は『彼らの言い方はストレートできつい』と愚痴をこぼし、外資系企業出身者は『彼らが自分たちに何をしてほしいと思っているのか分からない』と不満を口にする。ちょっとしたすれ違いから衝突してしまうこともあり、チームでの意思決定のスピードに影響を及ぼすこともありました」

どんなに優れた事業アイデアを持っていても、異なるバックグラウンドを持つ人同士が協力し合える組織をつくらなければビジネスは前に進まない——。そう痛感した東は、チームビルディングやフィードバック手法、会議ファシリテーションなどのスキルを貪欲に学んだといいます。そうして得た知識や経験を生かし、会社全体へ好影響をもたらすために人事へのキャリアチェンジを選択したのでした。

■ 変革期の人事に求められる新たな役割とは

その後、東は国内大手証券会社やコンサルティングファームで人事パーソンとしての経験を積み重ねます。当社との出会いは、ふとした偶然からだったといいます。

「コンサル時代の私は転職を考えていなかったのですが、2020年に知人からの紹介で当社が人材開発部長ポジションを求めていると聞き、カジュアルな面談の場を設けていただくことになりました。

その際に驚いたのは、当時の中期経営計画に人事戦略が紐付けられていたこと。

その頃は「コカ・コーライーストジャパン株式会社」と「コカ・コーラウエスト株式会社」が統合して当社が誕生してから数年というタイミングで、社長のカリン・ドラガンは『これまでのやり方は選択肢にない。私たちは変わらなければいけない』と社内に発信していました。そんな状況だからこそ、人材のスキルや経験をバージョンアップしていくことが求められ、人が経営戦略の主軸に据えられていたんです。この環境に人事としてのやりがいを感じ、ワクワクする気持ちで新たな挑戦を始めました」

最高人事責任者に就任した今、東は人事部門のメンバーにも「経営戦略の実現のために人事戦略を結び付ける」という重要ミッションへの意識を高く持ってほしいと話します。

「変革が起こらない会社では、人事の仕事は決められたルーティンのくり返しになりがちです。でも変革期の人事の役割は違います。経営陣が描く戦略に基づいて人材に求められている要件を導き出し、人事の専門性を駆使して最適な人事戦略を立案し、人事施策をつくり上げていかなければならないのです。

そして実際に施策を動かし、現場に浸透させていく際には、高いコミュニケーション力が求められます。個人の価値観が多様化する現代にあっては、社員が求める理想の働き方やキャリア形成のあり方もまた多様化しているはず。そうした複雑なニーズをくみ取りながら、会社視点だけではなく社員視点で変革へのストーリーを語リ続けなければなりません。私自身も実践しながら、まずは人事部門から変革していきたいと考えています」

■ 「マイノリティ性」が強みとなる働きやすい会社を実現する

人事パーソンとして充実したキャリアを歩みながら、東は自身のライフワークとも言える活動にも力を入れてきました。LGBTQ+の方々をはじめ、マイノリティ性を持つ誰もが垣根なく暮らし、自分らしく働ける世の中を実現するための取り組みです。

「LGBTQ+に関する活動を始めたのは、以前に勤めていた職場で『当事者が結成している社内ネットワークの活動を手伝ってほしい』と声をかけられたことがきっかけでした。

それまでの私は、LGBTQ+に関する知識をほとんど持っていませんでした。アメリカに留学していた高校・大学時代や外資系企業勤務時代に、身近なところに当事者がいた程度。ただ国内企業へ転職して実際に活動へ参加するようになったときに、1万人以上を擁する大組織でも当事者であることを職場でカミングアウトしている人は1人もいない、という現実を知ることになります。

外資系企業では、カミングアウトしている人がもっといました。この差は何なのか。もしかするとマジョリティ側である私たちの理解や行動に問題があるのではないか。そんな問題意識から、より活動に力を入れていきました。当時はまだLGBTという言葉自体が日本ではほとんど知られていませんでしたし、当事者ではない人が活動に関わることも珍しかった。だからこそ、私のように当事者ではなくても活動する人、つまり「アライ」を増やしていくことが必要だと感じました」

当社でも「LGBTQ+& ALLY従業員ネットワーク」が結成され、現在は153人が登録しています。東はこのネットワークの「スポンサー」の役割を務め、活動のアドバイスをしたり、社内外のイベントに登壇したりするなど精力的に活動しています。こうした取り組みは社外からも評価されつつあります。

「社員の巻き込みはまだまだこれから。153人の登録者数にも満足していません。さらに増やしていきたいと思っています。

とはいえ、アライの活動はやらされ感や強制ではなく、一人ひとりが自分にとっての意義を感じながら参加してほしいんです。LGBTQ+の方々が働きやすい環境を整えていくことは、巡り巡ってほかのマイノリティ性の課題にも寄与します。たとえば、女性活躍推進や男性育休取得推進など、より身近なテーマの推進にもつながっていきます。「誰もが誰かのアライになれる」という考え方は、LGBTQ+の当事者であってもそうでなくても、社員それぞれが活動に参加することからメリットを享受できるはずなんです。

日本におけるDE&Iの取り組みは、『マジョリティがどのようにマイノリティを理解して支援するか』という流れになりがちだと感じています。しかし、自分が常にマジョリティであるとは限りません。誰しも、多かれ少なかれ自分の中に何かしらのマイノリティ性を持っているもの。そうしたマイノリティ性が強みとなり、自分らしく働くことのできる会社にしていく取り組みは、社員全員にとって意義深いことですし、会社の持続的な成長にとっても必須だと信じています。

多様な人材がそれぞれに合った働き方を実践できる。そして一人ひとりが当社で働くことに誇りを感じられる。そんな理想の状態をさらに推進し、定着させられるように、これからも全力を尽くしたいと考えています」

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