コーポレートブログ

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目指すのは「ワクワクする買い物体験」——自動販売機風にワゴンセール風。楽しい売り場空間を実現させるMD企画課

2024年11月29日

コカ・コーラ社製品を取り扱っていただいているお店では、来店したお客さまに製品を手に取ってもらうための売り場づくりが欠かせません。そこで重要な役割を果たすのが、「これは何?」とお客さまが足を止めるような工夫を凝らした販売什器(以下、什器)や販売資材(以下、資材)です。

什器・資材を開発するMD企画課では、営業部門をはじめ社内の各部門と密にコミュニケーションを重ね、次々と新たな企画を立案しています。目指しているのは、ワクワクする売り場を演出し、お買い物を楽しんでいただくこと。お客さまの心を惹きつける斬新なアイデアはどのようにして生まれるのか、実際の事例を交えつつ、当社ならではの什器・資材が送り出されるまでのストーリーを聞きました。

多様なオーダーに応える「唯一のクリエイティブ部門」

私たちが日常的に訪れるスーパーマーケットなどの店舗。そこで初めて目にした製品を手に取るとき、珍しさに目を惹かれる一方で、私たちは特別なことは意識していないものです。

「買い物客は店頭で、一般的に3〜7秒の間にその製品を理解し、手に取るかどうかを決めていると言われます」

MD企画課のマネージャーである田中仁道は、消費者の購買行動をそう説明します。わずかな時間でいかに製品を認知させ、興味を持ってもらうか。その重要なコミュニケーションを担うツールが、売り場に展開される什器や資材です。

この什器・資材開発を担うMD企画課は、マーケターとデザイナーによって構成される「社内唯一のクリエイティブ部門」です。

「店頭で使用する什器や資材などのマーチャンダイジングツール、飲食店のPOPやメニュー、さらに社内の各部門からのデザインに至るまで、幅広い制作物を手がけています。外注に頼ることなく、社内で迅速かつ柔軟にクリエイティブを進められることが、当社の強みとなっています」(田中)

ねらい通りに大ヒットした、子どもたちがワクワクする「自動販売機風」什器

什器・資材開発を担当する猪俣浩之介は、消費者とのタッチポイントを増やすための什器を企画しています。

直近では、自動販売機風の什器から「ミニ缶(160ml缶)」を購買体験できる資材を作りました。

「自動販売機のように、スイッチを押すと『コカ・コーラ』や『ファンタ』などのミニ缶が出てくる什器です。お得意さきの店舗や社内の営業部門からのリクエストを聞きながら、どんな場所にスイッチを付けるべきか、どれくらい本数を詰められるかなどを検討していきました」(猪俣)

イメージしていたのは、初めて見た子どもたちがワクワクし、親子で一緒に楽しめるような什器。そのねらいは見事に的中し、最初に導入した店舗では什器を取り囲むように子どもたちが集まったと言います。ただ、思わぬ誤算もありました。

「想像以上の反響で、たくさんのお子さんが元気にスイッチを押してくれたこともあって、什器が故障してしまったんです。そこで什器の耐久性を見直し、スイッチ部分のバネの圧力の調整なども念入りに行って、すぐに改良品を準備しました」(猪俣)

こうしたアイデアは、店舗の現場を回ったり、営業担当の話を聞いたりするなかで生まれてくるといいます。あるスーパーマーケットでは、大きなかごの中に大量のミニ缶を入れ、あえて乱雑に並べるワゴンセール風の売り場を作ったこともありました。

「これも、お客さまに宝探しのようなワクワク感を持ってほしいと考え実行しました。社内のシステムでもさまざまな実験をしていますが、有益な情報はやはり現場から得られることが多いですね。ワゴンセール風の売り場を考えるときも、整然と陳列するべきか、それともあえて乱雑にするべきか、現場の事例を集めて課内で議論しながら見せ方を考えました」(猪俣)

各拠点の営業メンバーへナレッジを届ける『MD Planning News』

社内の情報共有促進を担当する岩田眞彩は、さまざまな手法を通じてMD企画課と営業部門をつないでいます。

「社内には、営業部門メンバーが活動内容を写真で共有するサイトがあります。たとえば『ミニ缶』というテーマに絞って売り場の事例を共有したり、他社の動きを伝えてもらったり。遠方で活動する営業担当のナレッジもすぐに学べ、助かっています」(岩田)

新しいプロモーション活動が始まるときには、特にサイトへの投稿が増えるといいます。営業メンバーにとっては、成果の出た売り場事例を共有することが、日常のコミュニケーションになっています。

岩田はMD企画課からの情報発信にも力を入れています。3カ月に1度のペースで社内向けに『MD Planning News』を配信。この中ではMD企画課が注目する売り場事例を共有したり、既存什器の有効活用法を紹介したりと、各拠点で活動する営業メンバーがすぐに使えるナレッジを届けています。

「『これはすごい!』と感じる売り場があれば、営業担当者を個別に取材し、工夫した部分や売り場作りにかける思いを聞いて記事を作っています。売り場作りの裏側まで紹介できれば、他の現場への横展開が加速するのではないかと考えています」(岩田)

『MD Planning News』はイントラネットを使って発信しているほか、全社員が閲覧できる社内SNSでも共有。2024年9月に発行した第2弾は、年間の全投稿の中でもトップクラスの閲覧数となりました。

お客さまも自分たちも「ワクワクできる」売り場を

MD企画課が手がける什器は進化を続けます。最近では3Dホログラム技術を活用したデジタルサイネージを開発し、レストランやエンターテインメント施設に置くことでオーダーを促進する試みを進めています。

こうした活動は、ネットでの買い物が一般化した現代にあって、リアル店舗の意義を問い直すことにつながっているのかもしれません。MD企画課の3人は、これからの什器・資材開発に向けた展望として「消費者をワクワクさせられる買い物体験の創出」を挙げました。

「お客さまに、いかに楽しんでもらえるか。それが什器・資材開発の最重要ポイントだと考えています。新しいギミックやデジタル技術を積極的に取り入れながら、お客さまの五感に訴えかけられる仕掛けを生み出していきたいですね」(田中)

「過去に手がけた什器では、店頭で見られたお客さまがSNSで共有してくださり、私たちが想定していなかったレベルで拡散され話題となったこともありました。実際にお客さまが楽しんでくださっている様子を見られるのが何よりの喜びです。これからもリアル店舗ならではのワクワクできる売り場を作っていきたいです」(猪俣)

「『お客さまがワクワクする売り場を作りたい』という思いは、営業部門のメンバーからも伝わってきます。今後もMD企画課と営業部門をつなぎ、コミュニケーションを活性化させて、私たち自身もさらにワクワクできる成果を生み出していければと考えています」(岩田)

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