コーポレートブログ

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日本代表からサスティナビリティー戦略の最前線へ。
元ホッケー選手・山田明季が見つけたキャリアの描き方

2023年7月11日

多様化するお客さまのニーズに対応していくため、さまざまな価値観やバックグラウンドを持つ社員が集い、活躍できる組織を実現したい——。そうした考えのもと、コカ・コーラ ボトラーズジャパンはダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン(DE&I)の取り組みを進めてきました。

サスティナビリティ戦略統括部に所属する山田明季は、当社のDE&Iにおける象徴的な存在の1人だと言えるかもしれません。フィールドホッケー選手としてキャリアを歩んできた山田は、コカ・コーラ レッドスパークスに所属し、日本代表として数々の国際大会への出場を果たした後に現役引退。その後はサスティナビリティ戦略統括部に異動し、PETボトルの水平リサイクル「ボトル to ボトル」を自治体と協業する業務を推進しています。

山田はなぜサスティナビリティー推進の道を志したのか。選手時代と変わらない情熱の源はどこにあるのか。「後輩アスリートのロールモデルになりたい」と語る山田に、現在の思いを聞きました。

■ 全国各地を飛び回って「容器の2030年ビジョン」実現を目指す

「日本では、使用済みPETボトルのラベルやキャップを外し、中をすすいで廃棄する動きが定着してきました。そのため各家庭からは品質が良く、リサイクル効率の高いPETボトルが排出されます。私たちはPETボトルをPETボトルへと再利用する『ボトルtoボトル』を推進するため、各地の自治体と連携し、使用済みPETボトルを回収する取り組みを進めているんです」(山田、以下同)

そう話す通り、山田は日本各地を飛び回り、自治体関係者との交渉を重ねる目まぐるしい日々を送っています。

背景にあるのは当社が掲げる「容器の2030年ビジョン」です。目標は、2030年までにすべてのPETボトル製品をサスティナブル容器へ切り替えること。そのためには各自治体と協業し、国内の使用済みPETボトルを確実に回収し続けられるスキームを構築しなければなりません。

「自治体との連携を実現するためには、環境関連部局の方々との交渉を通じて、最終的にはトップである首長の決裁をいただく必要があります。決して簡単な仕事とは言えませんが、世の中全体の環境意識の高まりを受けて、前向きに検討していただける自治体様が増えてきました」

2023年6月現在、約10の自治体と「ボトルtoボトル」を協働しています。山田は「2030年のビジョン実現に向け、『ボトルtoボトル』を協働する自治体様を増やしていきたい」と意気込みを語ります。

「この『ボトルtoボトル』の取り組みを通じて、いずれは『リサイクル原料で作られたPETボトル製品を買うことがクール』だと消費者が感じてくれる社会を実現したいと考えています」

■ トッププレイヤーを襲った重圧、海外生活で得た大きな気づき

当社が進めるサスティナビリティー戦略の最前線で活躍し、多くの関係者を巻き込んでいく。そんな現在の自身の姿を、かつての山田は想像さえしていなかったのかもしれません。

中学校の部活動でフィールドホッケーと出会い、高校1年生でU-18日本代表に初選出。トッププレイヤーとして周囲から期待され、結果を求められる中で、「プレッシャーに常に押し潰されそうになっていた」と山田は打ち明けます。

「学生時代、頭の中はいつも『みんなが求めるプレーをしなければいけない』という考えに支配されていて、自分がどんなふうに生きていきたいのかなんて考えられませんでした。そんな状況が続き、大学卒業後には環境を変えるために海外へ留学しました」

選んだ行き先は、広大な植物園や美しいビーチで知られるオーストラリア西部の都市・パース。その街で山田は「自分自身の固定観念が崩れ去るほどの衝撃を受けた」といいます。

「現地で出会ったホッケー選手たちは、国の代表に選ばれるトッププレイヤーであっても、看護師や弁護士、起業家などのアスリートとは別の顔も持っていたんです。私は、『日本のアスリートは競技を“自分の人生のすべて”だと考える人が多く、周囲からもひとつの道に集中するひたむきさが称賛されがち』だと思っていました。しかし海外のアスリートは人生を自由に設計し、いろいろなことに取り組んでいても周囲から批判されることはありません。私自身もコーチとの日常会話の中で『ホッケー以外にはどんなことに興味があるの?』『選手のキャリアを終えた後はどうする予定なの?』と尋ねられましたね」

自分の人生をホッケー選手の枠内だけで捉えなくてもいい。現役生活を終えた後のことも自由に考えればいい——。大きな気づきを得た山田は、帰国後の所属先としてコカ・コーラ レッドスパークスを選び、当社に入社しました。

「私にとってはとても自然な選択だったんです。レッドスパークスはトップレベルの企業チームであり、海外から監督やコーチを迎えていてマネジメントに多様性がありました。いわゆる日本的な体育会系の気質ではなく、選手の意見をていねいに聞いてくれる風土があることにも惹かれましたね」

■ 後輩たちに「アスリートの立場を超えて人と交流する」ことを勧める理由

山田がサスティナビリティー戦略の推進・実行に興味を持った背景にも、オーストラリアでの経験があるといいます。

「私は自然や動物が大好きで、緑豊かなパースの街からエネルギーをもらっていました。しかしそんなパースでも『海が汚れつつある』『サンゴ礁が失われつつある』といった暗いニュースが聞こえてきて……。自然環境を守っていきたいという思いが日増しに膨らんでいったんです」

地球上の自然や動物が暮らす環境は大きく変わっているけれど、原始時代にいまから戻ることはできない。現実を考えれば世界中でPETボトルの生産を一斉にやめるわけにもいかない。それなら、いま作っているものを少しでも環境に良いものへ変えていくべきではないか。そして、世界規模でリーダーシップを発揮できる企業が率先してアクションを起こすべきではないか。

そんな思いを職場の上司や同僚に熱く語っていた山田は、現役引退後、サスティナビリティー戦略統括部への異動という形で念願を果たすチャンスをつかみました。当時の経験をもとに、レッドスパークスの後輩たちへキャリア設計のアドバイスも行っています。

「現役のホッケー選手が所属するコミュニティは狭く、関わる人たちもホッケー関係者がほとんど。そのため入ってくる情報も限定的になりがちです。だからこそ後輩たちには、アスリートの立場を超えてさまざまな人と交流することを勧めています。海外で活躍するアスリートはどんなキャリアを歩んでいるのか。当社にはどんな部署があり、それぞれどのようなミッションを担っているのか。そうした知識があるだけでも、現役引退後の興味・関心の幅が広がると思うんです」

加えて山田は「グローバルとの接点が多い当社で働いていることが強みになる」とも指摘します。社員に多様性があり、マネジメント層にも海外出身者が多い環境だからこそ、自分次第で世界中のナレッジにアクセスできるのだと。

■ 自分自身が活躍している姿を見せることで、新たなロールモデルになりたい

では、アスリートとしての経験がビジネスの現場に生かされることはないのでしょうか。この問いに対して山田は明確に否定し、「結果を追求する競技の世界でトライ&エラーを繰り返してきた経験は今に確実につながっている」と話します。

「最善の結果を出すために準備して、結果を見て、検証する。そのサイクルを素早く回し続けてきたことで、失敗しても簡単に折れないレジリエンスや、結果が出るまで取り組み続ける継続力が身に付いたと感じています。ビジネスの現場では想定外のことやうまくいかないことが次々と起きるもの。それでも全力で向き合い続けていれば、改善すべきポイントや、自分が本来注力すべきことが見えてくるんです」

競技を終えたら、自分には何が残るのか。現役選手の中にはそんな不安を抱えている人も少なくないのかもしれません。だからこそ山田は「自分自身が活躍している姿を見せることでロールモデルになりたい」といいます。海外生活や国際大会を経験した自分には、アスリートの未来の可能性を広げる使命があるのだと。

山田は実際に、その思いを具現化する取り組みも進めています。7競技の7人のオリンピアンらが参加するボランティア団体「Making an ERA 」での活動です。現役引退から2〜3年以内の元アスリートを主な対象として、キャリア相談に応える座談会などの企画を実施しています。ほかにも、レッドスパークスの現役選手とオンライン勉強会を実施するなど、アスリートの新たなキャリア形成に向けたサポートを行っています。

そして山田自身もまた、将来に向けたキャリアの展望をアップデートし続けていました。

「『容器の2030年ビジョン』達成に向け、『ボトル to ボトル』を推進していく中で、日本の強みにも改めて気づくことができました。たとえば、日本のコカ・コーラシステムのサスティナビリティー素材使用率(※)は、グローバルのコカ・コーラシステムの中でも飛び抜けています。私たちが発信するナレッジはきっと世界中で生かしてもらえるはず。これからも自分の可能性に蓋をすることなく、日本はもとより、グローバルの最前線で活躍したいと考えています」

(※)「ボトルtoボトル」によるリサイクルPET素材と、植物由来PET素材の合計

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