2024年9月19日
当社が販売エリアに設置する自動販売機は約70万台(2024年8月現在)。この数は、業界の最大規模に該当します。
持続可能な自動販売機ビジネスを実現するためには、顧客ニーズに寄り添って付加価値を生む企画・開発が欠かせません。その役割を担っているのが当社の「ベンディングカスタマーソリューション企画課」です。
自動販売機を設置していただく企業やビルオーナー、自治体などの顧客課題をつかみ、課題解決につながる新たな自動販売機のあり方を提案し続けている同課。課に所属する工藤麻衣、隈田大地へのインタビューを通じて、売る自動販売機にとどまらない「ハッピーをお届けする自動販売機」をつくる理由をお伝えします。
飲料の自動販売機といえば、街中のあらゆる場所に設置されており、いつでも簡単に飲料を買える便利なものとして認識している人が多いのではないでしょうか。しかし近年では、自動販売機に求められる役割が多様化しつつあるといいます。
「自動販売機での飲料購入金額の一部を各種団体に寄付できる『支援自販機』として、社会課題の解決に取り組む団体への資金援助や知名度向上サポートにつなげる自動販売機や、自治体・地域団体と協定を締結し地域活性化につなげる自動販売機を展開しています。また災害時など有事の際に無償で飲料を提供する『災害対策型自販機』など、自動販売機はさまざまな役割を持つようになりました。
加えて当社では、企業の健康経営やDE&I[1]推進など、設置先の課題解決につながる新たな自動販売機のあり方を企画しています。社会課題への支援・地域活性化・災害対策・設置先の課題解決、これらを総称して当社では『課題解決型自販機』[2][3]と呼んでいます」(隈田)
なぜ自動販売機にこうした多様な機能が求められるのでしょうか。その背景として工藤は「自動販売機市場は飽和状態にあり、他社と差別化していくために独自の企画を打ち出すことが必要になってきているため」だと話します。
「飲料メーカー各社が自動販売機を展開する中、飲料を買える機能だけでは新規設置や入れ替えがなかなか進みません。お客さまに当社の自動販売機を選んでいただくためには、製品の差別化はもちろんのこと、当社ならではの企画で経営課題の解決に寄与する付加価値が求められています」(工藤)
2人は「人々にとって身近な存在である自動販売機だからこそ多くの可能性がある」と言います。多くの人にとって身近なタッチポイントである自動販売機では、企業や自治体などのメッセージを効果的に伝える広告塔の役割も果たせるのです。
そうした機能を支えているのは、コカ・コーラ ボトラーズジャパンが構築するオペレーション体制。魅力のある自動販売機を維持するために、当社ではAIやビッグデータを活用し、現場を支える担当者の経験やスキルとかけ合わせて最適な製品補充間隔や製品ラインナップを実現しています。高い購買利便性を基盤として、2024年現在では、さまざまな課題解決型自販機を展開するようになりました。
ここからは、当社が展開している課題解決型自販機の事例をご紹介します。
訪日観光客の増加を受け、2017年に登場。初代の「おもてなし自販機」は、舞妓さんの姿を描いたイラストをラッピングしてリリース、自治体の観光PRにつなげることを目的としました。訪日観光客にとっては自動販売機そのものが日本ならではのカルチャーで、自動販売機自体がフォトスポットになりました。世界的なブランド力を持つコカ・コーラ社製品を安心して買える場所として機能し、国内で約200台を展開しました。
その後、コロナ禍を経ておもてなし自販機は大きくリニューアル。
「コロナ禍のインバウンド需要低下とその後の急回復に伴い、2023年7月にリニューアルしました。ラッピングの絵柄を4種類に増やし、設置主さまに選んでいただけるようにしたのです。絵柄の選択肢があることによって、分かりやすい観光地だけでなく、空港ラウンジや鉄道駅などにも設置できるようになりました。さらにQRコード(※)決済機能を搭載し、海外の決済ブランドにも幅広く対応しています」(隈田)
(※)「QRコード」は株式会社デンソーウェーブの登録商標です。
誰もが活躍できる組織をつくるための考え方として注目されている「DE&I」(ダイバーシティ、エクイティー&インクルージョン=多様性・公平性・受容性)。日本国内では長らく「D&I」として認識され、海外では当たり前になりつつあったエクイティー(公平性)の考え方が浸透していませんでした。そこに課題を持つ人事・総務担当者のために企画したのがDE&Iサポート自販機です。
会社として打ち出すメッセージや施策をイントラネットなどで発信しても、なかなか従業員に見てもらえず、理解が広がらない……。そんな悩みを持つ担当者に向けて、自動販売機のタッチポイントを活用した広報支援を提案しています。
「“性的マイノリティ(LGBTQ+)、女性活躍、障がい者”、この3つのテーマがメッセージングできる広報物を自動販売機に貼り、飲料を買いに来た従業員の方の目に自然に触れるようにすることで、社内での周知をアシストしています。従業員向けサイトへ誘導するQRコードを載せたステッカーを貼ることもできます。設置先の企業からはサイトへのアクセス数増加などに加え、『社内で日常的に話題に上るようになった』といった定性面での効果を聞くことも多いですね」(隈田)
ドライバーの残業時間に上限規制が設けられ、物流体制に大きな影響をもたらすことが懸念されている2024年問題。物流・運輸業界の現場では、ドライバーのモチベーション低下を危惧する声も多いといいます。こうした現状を受けて提供しているのが、「はたらくヒト応援自販機(ドライバー編)」です。
「『おつかれさま』『ありがとう』など、ドライバーさんへ向けた感謝のメッセージを自動販売機の見た目や音声(※)で伝えられるようにしました。さらに、さまざまな配送先へ向けて走行し、各地の自動販売機をご利用いただいているドライバーさんに向けてコカ・コーラ公式アプリの「Coke ON®(※)」とも連動したキャンペーンも企画しています」(工藤)
(※)音声はオプションとなります。
(※)「Coke ON」はThe Coca-Cola Companyの登録商標です。
多くの企業でSDGsが推進される中、カーボンオフセット(※)の取り組みが注目されています。自動販売機を設置している時点で電力を消費し、CO2を排出してしまうことは避けられません。この電力量を風力・水力発電によって埋め合わせし、当社が非化石証書を購入。設置先企業へ提供することでカーボンオフセットにつなげる自動販売機です。
「『カーボンオフセット自販機』を通じた取り組みの主体は設置いただく企業です。業界や企業によっては、カーボンオフセットに厳格な目標値を設置しているところも多い。だからこそ当社ではなく、設置先企業が主体となって数値を追いかけていけるようにしています。
なお、「おもてなし自販機」や「DE&Iサポート自販機」、「はたらくヒト応援自販機」、「カーボンオフセット自販機」などの課題解決型自販機を設置するコストは、通常の自動販売機と変わらず、当社がラッピングや非化石証書購入などの費用を負担しています。企業にとっては定量的な成果で示しにくい部分も多いので、追加コストなしで導入できることは大きなメリットになると考えています」(工藤)
(※)経済活動や生活を通じて排出される温室効果ガスを、クリーンエネルギー利用などの代替方法によって直接的・間接的に吸収しようとする考え方
ベンディングカスタマーソリューション企画課では、自動販売機の枠組みを超えたサービスも提案しています。その一つが企業の健康経営を支援する「ウェルネスプログラム」です。
「ウェルネスプログラム」では、ヘルスケアアプリ「あすけん」とコカ・コーラ公式アプリ「Coke ON」が連動。導入企業の従業員は、本プログラム専用にカスタマイズされた「あすけん」アプリ内での食事・健康記録やウェルネスチャレンジをきっかけに健康行動を開始し、楽しみながら継続できます。また、健康に関する簡単なチャレンジを達成することで「Coke ON」対応自販機で使用可能なドリンクチケットが獲得できる仕組みとなっています。当社の自動販売機を設置した企業であれば、このプログラムを費用無料で導入できます。
「お客さまにとっての安心感や導入のしやすさを重視し、累計会員数1,000万人(2024年3月時点)を超える食生活記録・改善アプリの「あすけん」とタッグを組みました。このプログラムを導入することで、企業は健康経営優良法人申請の一つとして使用することができます。福利厚生観点で必要な自動販売機を導入しつつ、健康経営施策を付加価値として取り入れられるようにしました。
タッチポイントとしての自動販売機の価値も活用。健康経営では、従業員の健康行動が持続するようサポートすることが重要です。個人の意志ではなかなか続けられないこともあるので、自動販売機にさまざまなメッセージを掲示し、自動販売機の場所に来ると自然に健康行動をしたくなるようなデザインやコピーを意識しています」(工藤)
「ウェルネスプログラム」について: "https://www.asken.jp/lp/ccbji/program/wellness2023/
こうした企画を打ち立てていくためには、世の中のトレンドを想定し、今後起こり得ることに対応するためのリサーチが欠かせません。「ファクトをつかみ、企画者の独りよがりにならないようにする」ことも重要だといいます。
二人は最後に、この仕事のやりがいについて述べました。
「私たちが立案した企画を営業チームに活用してもらい、提案した結果、お客さまからの感謝の声が届いたときには大きなやりがいを覚えます。これからも自動販売機が持つ可能性を拡大して、お客さまのハッピーにつながる企画を生み出していきたいと思っています」(工藤)
「お客さまが中長期視点で取り組むテーマに対して、すぐにできるアクションを提案できるよう心がけています。私たちのチームとしての役割は、当社の営業チームが動きやすくなるようサポートすること。そして、その先のお客さまへこれまでにない付加価値を提供すること。簡単なミッションではありませんが、誰かの役に立てるこの仕事に喜びを感じています」(隈田)
当社自動販売機設置に関するお問い合わせは、以下までお願いします。
お問い合わせフォーム: "https://www.ccbji.co.jp/inquiry/form/?contact_type=1
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[2] ニュースリリース: 浜松開誠館高等学校と協働でSDGs達成に向けた取り組みを実施〜校内にオリジナルラッピングの「TABLE FOR TWO」を設置〜
[3] ニュースリリース :包括連携協定や支援型自動販売機を通じてオリンピックの機運醸成と地域の活性化を推進